加齢による変化

年齢による顔の変化は簡単にいえば、「デコボコ変化」です。

顔の皮膚は骨に「留まっているところ」と「留まっていないところ」があります。留まっているところは年齢による変化が少なく、留まっていないところは加齢とともに膨れてくるため、顔の皮膚があたかもキルティング生地のようになってしまいます。この変化がわかりやすいところは、口角の横、目の下、目の上です。

現在の学会の流れでは、この留まっているところに注目が集まっています。留めているものがいわゆる「リガメント」でこれを使って引っ張り上げる方法が 「SMAS リガメント」法とよばれるフェイスリフトです。

これをわかりやすくいえば、キルティングの仕付け糸を全部はずし、生地全体を引っ張って表面を滑らかにする、それによって若々しくみえる顔を取り戻すということになります。

しかし、発想を変えて表面を滑らかにする方法を考えてみると、膨らんでいるところをへこませてもいいわけです。キルティングでいえば、しつけ糸をもっと増やしてふくらみをなくす、でもいいわけです。むしろこの考え方のほうが自然ではないでしょうか。

この仕付け糸と仕付け糸の間のスペースに注目して、これを「狭くする」あるいは「つぶす」ことで若返りをはかるという考え方です。

コンセプトがきまれば、あとは方法です。このスペースを減らすための方法として考えられるのは、1手術による方法、2物理的エネルギー(熱など)による方法、3生物学的変化(生体接着剤、GFなど)による方法、4化学的変化(組織の癒着を惹き起こす物質の投与)による方法です。

このスペースは皮下ではなくて、もう1段階深いところ(SMASの下)にあるため、従来のサーマクールの様なものではエネルギーがとどきません。当面は、手術による方法をとることになりそうです。

手術中に、このスペースを観察してみると正体は筋膜に包まれた脂肪です。動きの大きいところ(口角の横と上眼瞼)は筋膜が多く、動きの少ないところ(下眼瞼)は脂肪が多いようです。