レーザートーニングの新しい知見
日本美容外科学会の1週間後、東京で日本形成外科基礎学会がありました。
こちらは発表する予定もなかったので、気楽に参加し一つでも新しい知見が得られれば儲けもの、ぐらいのつもりでした。
私にとって1日目の午前中のアンチエイジング関係のシンポがメインでしたので、朝早く起きて上京しました。
その中でレーザー関係の話を聴いていると、今のトレンドがフラクショナルレーザーとレーザートーニングの二つであることがわかり、うちのクリニックの方針に誤りがないことを再認識しました。
とくにレーザートーニングの発表で、照射後の皮膚基底層にあるメラノサイト(メラニン色素を産生する細胞)が減少していることを示していただけたのには、非常に興味をひかれました。
これは、レーザートーニング後皮膚が日焼けしにくくなることを示唆しているからです(実際にレーザートーニングを受けた患者さんでその後日焼けしにくくなりました、という感想を聞いたことがあります)。
今までの私たちの常識では、美肌治療は続けないと元にもどってしまい予防効果はない、というものでした。
そういった意味では「レーザートーニング」はこれからの美肌治療の可能性を広げてくれるものかもしれません。
その発表でもうひとつよかったのは、バーチャルスライドといって皮膚のスライド切片を実際に見ているような感じでプレゼンを見ることができたことです。
皮膚の標本を見せる場合に、従来ですと演者の都合のいいところだけ切り取ってそこだけみせることができてしまい、発表に信憑性がなくなります。
標本全体を強拡でも弱拡でも見せてもらうことができたので、たしかに全体としてメラノサイトが減少していることがわかり、上記のことが納得できたというわけです。
学会発表というのも、厳しい目で見ないと演者のトリックに引っ掛かって間違った情報を得てしまうことが我々でもあります(もちろん演者自身もそれ意図しているわけではないと思いますが・・)。
新しくて正しい情報を得ることは意外に難しいものであり、そんなに簡単に一度にたくさん得られるものではないのです。