上眼瞼の手術その1

前回の記事に書きましたが、しばらくは「医者の父から・・・」の続編のネタになるような記事を書いていきます。形成外科のトレーニングを終えてそろそろ美容外科にという医者に手術方法を伝えるという形ですが、患者さんが読んでも興味がわくような内容にしていきたいと思います。

教科書的なことは文字通り教科書を読めばいいと思うので、もっと日常の診療に近いことを中心にした内容になります。

上眼瞼(うわまぶた)の基本

大事なことは「1に解剖、2に解剖」です。残念ながら医学部の講義で習った「系統解剖学」があまり役に立たないことは形成外科トレーニングでも痛感したと思います。

中でも上眼瞼で一番大事なのは「上眼瞼挙筋」、これは形成外科でも美容外科でも同じです。

他院修正術となれば、まずは上眼瞼挙筋を同定することが第1です。もっと言えば上眼瞼挙筋腱膜です。これが見つけられずに修正手術はできません。

ただいきなり上眼瞼挙筋腱膜を見つけられるとは限らない(それぐらい解剖学的構造がめちゃくちゃになっている場合が多いです)ので、まずは眼窩脂肪を捜しましょう。

眼窩脂肪は隔膜前脂肪と紛らわしいケースもあるから気を付けないといけないですが、ここにこそ形成外科トレーニングをしていて本当によかったな、と思う瞬間です。

形成外科では、眼瞼下垂手術はありふれた手術ですから、美容外科でもまずは皮膚切開→眼輪筋切除→隔膜→眼窩脂肪→挙筋腱膜とたどっていけばいいわけです。

形成外科トレーニング経験のない医師は本当につらい所だと思いますね。

上眼瞼の手術その2~に続く