カウンセリングの不思議

美容外科のカウンセリングをしていると不思議なことがあります。

前回書きましたように美容外科はもともと特殊な外科であり、手術の結果に対する評価は100%患者さんが決めること、という点でほかの外科系と決定的な違いがあります。

だからと言って手術方法も100%患者さんが決められるのか、という問題があります。

我々は患者さんの満足度が100%に近くなるようにアドバイスはできますが、そこまでです。

何故なら、最適な手術方法が決まったとしても患者さんには予算やダウンタイムが合わないなどの理由があってこちらが提案した手術が全部できるとは限らないからです。

その場合患者さんは自分ができる範囲の手術を自分で選択することになり、その結果としての患者さん側のリスクは、手術の範囲を狭めた分だけ満足度も下がる可能性がある、ということになります。

もし満足度が下がらないとするならば、最初の提案の中に無駄なものが含まれていたということになってしまいます。

こういったやり取りはほかの外科系の手術では想像しにくいものがあります。

もっとわかりやすい例としては、最初から患者さんが手術内容を決定してきて我々がそれを引き受ける、というケースです。

こういったことは、ほかの外科系の手術では絶対あり得ません。

例えば最初の診察で「胃の調子が悪いから、先生、内視鏡で胃を2/3取ってください」という患者さんがいるでしょうか?

そんな馬鹿な、と思われるかもしれませんが、美容外科ではよくあることです。

先日も、カウンセリングの冒頭で「鼻中隔延長術と鼻尖縮小術をおねがいします」とおっしゃられた患者さんがいました。

こちらからは「その前に、どんな鼻や輪郭、あるいはどんな雰囲気の顔がご希望ですか?」とおたずねしたら、途端に機嫌をそこねられたようでした。

そんなことはいいからとにかくその内容を引き受けて見積もりを出してください、ということだったようです。

美容外科の手術はあくまで患者さんが気になっていることの解決やその結果心の満足感が得られることが最終目的になります。

そのためには、何が必要かを話し合って一緒に考えていきましょう、というのがカウンセリングの主な目的になります。