美容外科クリニックの経営その9

今回はクリニックの宣伝について書きます。

美容外科がほかの科のクリニックと大きく違う点の一つが「広告宣伝」です。

クリニック経営で、一番大きな支出を占めるのが宣伝費というクリニックが多いと思います。

普通の病院や診療所は地域医療をメインにすることが多いのですが、美容外科には地域医療という性格はほとんどありません。

美容外科の診療圏は極端にいえば全世界になります。

地域医療の場合、集客(集患者)には地域のコミュニティでの評判が一番重要で、その最たるものが口コミでした。

いい評判の病院診療所には患者さんが集まる、悪い評判がたつと患者さんが逃げていく、という単純な宣伝形態が働いてきました。

ところが美容外科は、上記の理由で従来口コミが役に立たないことが多く、代わりにあらゆるメディアを用いて情報発信することが宣伝のメインとなってきました。

20年以上前までは、雑誌、テレビなどのメディアが宣伝の中心でここにはクリニックの情報があふれていて、美容外科クリニックの来院患者数はこの掲載料や放映料と完全にパラレルでした。

もちろん医療の広告には医療法の規制がありますが、一方通行の情報発信ですからクリニックが好きなことを書いても大丈夫でした(例えばクリニックの独自な手術法、手術症例数日本一とか)。

20年前にインターネットが普及してからはメディアの中心が大きく変わりました。

情報発信の主体はネットになり、クリニックの情報発信はホームページ(HP)を作成することになります。

一見するとHP作成は一度行ってしまえば以後それほど費用が掛からないので広告費の割合は減少するかに思えました。

ところが、患者さんにHPを診てもらおうとすると検索エンジン(グーグルやヤフー)対策が必要となり、これに多額の費用がかかるようになってきました。

患者さんがあるキーワード(例えば「美容整形 名医」など)で検索して表示される最初の1ページの上位になるには多額の費用が必要になります。

クリニック側としては、ここに費用をかければかけるほどHPの閲覧される回数が増加し、来院患者数も増える、という従来の広告パターンと全く同じような構造となっています。

ネットのスマートなところは、患者さんにとって検索で上位に表示されるクリニックはあたかも人気のある優れたクリニックに思わせてしまうところです。

自分で時々興味本位で美容関連のキーワードで検索してみるのですが、業界では聞いたこともないクリニックが上位表示されていたり、どう見ても不自然な順位で表示されていることは日常茶飯事です。

グーグルなどは、患者さんに有用な情報を伝えるために検索のアルゴリズムを変更したり改善?したりするそうですが、果たしてそれがうまく機能しているのか全く疑問です。

こんな広告環境で、患者さんにとって有用な情報をお伝えすることが可能になっていくとはとても思えないのです。

そんな中で、美容外科にもやっとまともな情報発信手段が芽生えようとしているようです。

続きは次回以降で。