美容外科医になるためにその8~一見関係ない手術でも
形成外科の手術というのは、腹部外科や胸部外科、脳外科などとちがって、ターゲットになる器官が最初から独立して存在していないという特徴があります。
たとえば胃切除術は胃がターゲット器官ですが、そもそも胃は開腹すればそこに存在しています。心臓や脳にしても周りから独立して存在している器官です。
形成外科で扱う器官は、最初から独立して存在していないことが多く、頭の中でターゲットをイメージしてそれを周りから切り出すという作業が必要になります。
イメージするときに一番重要なのは、レイヤー(層)のとらえ方です。
手術中、今自分がどの深さで手術をしているか、これが美容の手術、特にフェイスリフトなど剥離を必要とする手術には特に重要です。
一定の深さをキープして剥離を進めるのは、思うほど簡単なことではありません。
その一番いい訓練になるのが、形成外科の手術であるといえます。
一定の層をキープして剥離する、これこそ形成外科時代に毎日のように行われる手術手技なのですから、一見美容外科と関係のない手術でも、のちにこれが大変役に立つということを知ることになります。