美容外科手術でトラブルを避けるために80
患者さんが気にする顔の前方のたるみをフェイスリフトでどうやって引き上げるか。
引き上げるには「担い手」を考える必要がありますが、この担い手としてもっとも信頼性がおける組織として今のところ考えられているのがSMASということになります。
しかし、このSMAS弁を作成することはフェイスリフトの目的ではなく、あくまで引き上げの担い手の一つ、手段にしかすぎません。
それが糸であっても信頼性がおければかまわないわけです。
ですからSMAS弁を作成するときも、術中にこれを牽引してその牽引力が口元やほうれい線に伝わるかどうかを確認しながら剥離範囲を決めていきます。
実際に手術でSMAS弁を前方に剥離していくとわかると思いますが、咬筋前縁のいわゆる「リガメント」を切離していくと徐々に牽引力が前方に伝わっていくようになるのがわかります。
要するにリガメントの処理に関してもそれ自体が目的ではなく、SMASの牽引力を前方に伝えようと剥離していくと自然にリガメントを切離する結果になる、ということです。
次は、たるみのバランスについて書いていきます。