美容外科手術でトラブルを避けるために84

前回の続きです。

顔のたるみについて別の角度から考えてみましょう。

お顔全体でみた場合、口元のたるみが気になる患者さんでも顔全体にたるみが生じている可能性が高いという問題です。

つまり、たるみそのものにも「バランス」というものがあって、変な言い方ですが年齢とともにバランスよくたるんでくるものです。

口元のたるみは眼立ちやすいので、患者さんにとっては口元だけがたるんでいると考えがちですが、実際は目元おでこ、首もバランスよくたるんでいるわけです。

そしてフェイスリフトはある意味、そのバランスを崩すことになるとも考えられます。

そういった状況で、口元のたるみだけを強力に引き上げると今まで気になっていなかった部位のたるみが途端に露わになってきます。

フェイスリフトの術直後の顔が何か変だ、と思ってしまうのは、腫れによるものもありますがこういった問題も関係している可能性があります。

皮肉なことに、口元のたるみをガチンコでひきあげれば引き上げるほどこのひずみは大きくなってしまいます。

逆に大して効果のでない引き上げ術や非侵襲的治療のほうがこういったトラブルが少ないのです。

前回書いたように、切開してフェイスリフトする以上はめいっぱい引き上げたいところですが、引き上げれば引き上げるほどバランスがくずれていくという矛盾が生じます。