美容外科手術でトラブルを避けるために94
形成外科専門医を取得後、美容外科研修を始めようとしているドクターに向けて書いています。
輪郭の手術で骨格を書いてきました。
次に筋肉です。
顔の輪郭に最も重要な筋肉は「咬筋」です。
えらが張っている患者さんの大部分に「咬筋肥大」がみられます。
えらの輪郭に筋肉がどれぐらい関与しているか、を評価することが重要です。
治療法として、手術による切除、BTX注射があります。
手術による筋肉の減量手術はえら削りと同時に行われることが多いのですが、スムースな輪郭をつくるのが難しいので、美容外科初心者向けの治療法とは考えにくいです。
結論として、咬筋減量はほぼBTX注入一択になります。
ここで輪郭を損ねないようにBTXを注入する必要がありますので、咬筋の筋体の解剖を熟知する必要があります。
咬筋の起始は頬骨弓、停止は下顎骨咬筋粗面ですが、えらを小さくする目的であれば咬筋の停止付近にまんべんなく注入することが大事です。
起始付近に注入すると頬骨弓下部が陥凹して老けたイメージになります。
また、部分的に注入するとほかの筋繊維が代償的に収縮して変な「力こぶ」ができることもあります。
BTX注入後の経過ですが、筋体の減量効果は筋肉収縮の停止から2週間ぐらい「遅れ」がありますので患者さんの説明にも注意する必要があります。
次号は脂肪のコントロールによる輪郭形成を書く予定です。