脂肪注入について 7
脂肪注入された人体で残存脂肪の体積をどうやって計測するか。
3Dカメラはとても有効であることを説明しました。
ただし、これには一つ弱点があります。
それは3Dカメラが表面の立体的な変化量を測っているに過ぎないということです。
注入された脂肪は表面を変化させるだけでなく周囲、特に深部に向かっても広がっていきますから、必ずしも表面変化量だけでは本当の体積変化を測ることにはなりません。
逆に部位を限れば誤差を限りなく無視できるとも言えます。
そこで我々は、注入された脂肪の周囲への影響が少ない部位ということで「前額」を選択しました。
前額は、皮下にすぐに骨があり皮膚も比較的硬いので注入された脂肪が表面の変化にとどまりやすいと考えました。
しつこいようですが(笑)、これが2020年3月に学会誌に発表した論文が出るまでの経緯です。
つまりこの論文が出るまでにはこのように長い準備期間と思考過程を経る必要があったのです。
この結果、現在一般的に行われている方法だと脂肪残存率29.3%という数字を得ることができました。
今後新しい脂肪注入術では、おそらくこの数字を脂肪注入術の標準値としてこれを超えることが最低条件になると思っています。
いかがでしょうか?
まだこういった比較データのない、いわゆるファッションとしての新しい脂肪注入法にこだわられるでしょうか?
まあまあ、かたいことは言いっこなしで夢のあるファンタジーを求めるのもいいかもしれませんね笑。
ここで脂肪注入についてはいったん終了とします。