輪郭手術その3

前回は脂肪注入による前額形成術について書きました。

今回は何らかの理由で脂肪注入できない場合の前額形成です。

生体親和性から考えるとハイドロキシアパタイト(HA)による前額形成が適応になります。

確かにHAによる骨形成は、整形外科・形成外科でも一般的になっているようで術後のHAの状態をみると患者さん自身の骨と完全に一体化して見分けがつきにくいほどの親和性を示していました。

使用できる材料の形態も、ペースト状のものから顆粒状のものまであり使用状況によって使い分けられるようになっています。

前額形成の場合はペースト状のものが使いやすいのですが、使い方には注意が必要です。

一番まずいのは、ペースト状だからと言って小さな穴から前額の皮下に注入する、といった使い方です。

これは患者さんにとっては傷が少なくてすむという一見メリットがあるように思えるのですが、このような使い方は注入後のHAをドライな状態で硬化するまで待つことができないので、一部完全硬化が得られず術後の感染や不良肉芽形成などのトラブルをおこします(他院の術後で実際に見られたトラブルです)。

やはり後頭環状切開をもちいて前額骨を完全に露出した状態でHAを骨に直接乗せて完全硬化するまで30分以上待つ必要があるようです。

うちのクリニックでは5年以上経過した患者さんの検診をしておりますが、非常に美しい自然な形態が得られていて境目を触れることもなくスムースで、トラブルがないことを確認できています。

また後頭環状切開による被髪頭部内の傷は目立ちにくく髪の毛をかき分けてようやく確認できる、という程度です(クリニックには術後の傷の写真の用意もあります)。

方法論はこのあたりにして、前額形成で気を付けたいことを次回に書きます。