切開式重瞼術での重瞼ライン作成その3
昨日の話の続きです。
重瞼手術後に睫毛の付け根に皮膚がかぶさっているのを治してほしい、という要望があります。これは昨日の睫毛外反の逆になります。
挙筋腱膜の構造上、目を閉じた状態でかぶさっていても開けると治る場合もありますが、その反対はありません。両方でかぶさっている状態はありえます。
重瞼ラインの固定が、瞼板が挙筋腱膜に固定されている部位から離れていて、なおかつ睫毛上の皮膚が余っているとこのような現象が起きやすいと考えられます。
こういったトラブルを治すためには、原因が「瞼板と挙筋腱膜との固定」と「重瞼ラインの挙筋腱膜への固定」の微妙なずれにあるという理解をすることが第1歩と考えます。
挙筋腱膜がただ1枚の単純な膜であればこのようなことは起こりえません。さらに瞼板と腱膜の固定がしっかりしたものであれば、切開式重瞼術はもっと単純な、予想のしやすい手術になっていたはずです。さらに、以前にも書きましたがこういった事情がまぶたの目がしら側と目じり側で微妙にちがうので問題が複雑になります。
しかしこの挙筋腱膜の構造を1度理解してしまえば、逆にこれを利用していろいろな目の形を作り出すことが可能になり、睫毛の向きもコントロール可能になります。
もちろんこれらを理解すれば切開式重瞼術がすべてうまくいくかというとそうではありませんが、少なくともこれぐらいは理解しておかないと安心してできる手術とはいえません。