シミュレーションソフト

術前の写真を使って術後のシミュレーションができるコンピューターソフトがあります。そのソフトを導入しているクリニックも多いようです。

私も以前から使用していた経験で今のクリニックにも開業当初から導入しています。最近のはバージョンアップして、二重のラインまでできるようになっています。

このソフト、使い方によっては非常に有用です。

利点は、患者さんとイメージを共有できる、という点です。言葉ではなかなか描けないイメージが、写真だと非常に具体的に描くことが可能です。まさに百聞は一見にしかず、です。

単純な二重手術とか隆鼻術であればこのソフトを使う必要はないのですが、かなり特殊な手術とか、いろいろな手術を組み合わせる場合などは、術後のイメージを思い描くのが難しいので、このソフトは本当に助かります。

しかしこのシミュレーションソフトを使用するときには気をつけないといけない点があります。

よくいわれるのは、シミュレーションはあくまでシミュレーションだから患者さんに100%結果を約束してはいけません、ということですが、私が心配するのはそういうことではありません。

これを使用する術者は、経験豊富でなければいけないということです。つまりある手術をした場合にどのような結果が出せるか、またどこまでなら結果をお約束できるか、を術者が豊富な経験からちゃんとわかっていることが前提です。

つまり手術経験もさることながら、術後の経過を長年にわたってくわしく観察してきた経験も豊富であることが必要とされます。それに基ずいたシミュレーションであれば患者さんに結果をお約束してもいいと思っています。

そうでなければ、これは患者さんと術者が一緒になって遊ぶシミュレーションゲームになってしまいます。そこで描かれているのは文字通り「絵にかいた餅」になり下がります。