手術の不思議

学会に参加していてつくづく考えてしまうことがあります。

それは発表している医師と聴いている医師の言語がちがうことです。言語といっても国によって違う言語、という意味ではありません。

同じ日本語で議論をするのですが、同じひとつの言葉にもかかわらず医師によって違う意味で議論をしていることがあるのです。

たとえば「眼瞼下垂」という手術について議論している会場で、そこに参加している医師全員が同じ手術をしているわけではないのです。というよりもむしろ、全く違う手術をしている可能性すらあるのです。

患者さんが聴くとびっくりするかもしれませんが、こういうことは結構あります。当事者である医師本人も気づいていないことがあります。

何が本当の手術か、正しい手術か、という意味ではありません。手術というものはそういうものなのです。

患者さんがいろいろなクリニックに相談にいっても話を聞けば聞くほどよくわからなくなってしまうのはこういったことが関係しているのかもしれません。

こういったことを踏まえたうえでなおいい手術をさがすとすれば、大勢の患者さんにちゃんとした結果が出せる安定した手術がいい手術と考えるしかないかもしれません。