L字プロテーゼ抜去手術

鼻の修正手術でときどき相談を受ける内容に、鼻先の皮膚が薄くなってきたのでL字プロテーゼを抜きたい、というのがあります。

患者さんにとっては深刻な問題で、いろいろなクリニックで相談されることが多いようです。ところがそれぞれのクリニックの先生の親身な説明にも関わらずそれぞれ微妙に内容が違っていて患者さんの頭を混乱させているようです。

まずL字プロテーゼを抜いてから、そのあとのことはゆっくり考えましょう、という先生。

L字プロテーゼを抜いてその場でI字プロテーゼに入れ替えましょう、という先生。

L字プロテーゼを抜いてI字プロテーゼと耳介軟骨移植をすれば問題ない、という先生。

L字プロテーゼを抜いてI字プロテーゼと鼻中隔延長術が必要だ、という先生。などなど・・。

考えられる方法はすべて説明されたといっていいぐらい説明がそれぞれちがうのです。この中で正解の手術は何でしょうか。実は昨日の記事に書きましたように、どれも正解で間違っている手術方法は一つもないのです。

ただしひとつ、落とし穴があるとすれば、入れられているL字プロテーゼの大きさに注目した説明がないことだと思います。

私の経験では入れられているL字プロテーゼの大きさによってはこの方法でなければ取り返しがつかなくなる、という患者さんがいます。

20~30年前にL字プロテーゼを入れられた患者さんの中には、とても大きなものが入れられていることがあり、それをうっかり抜くと術後早期に瘢痕拘縮によって元の鼻より小さく短くなってしまうことがあるのです。

この場合は、鼻が短くならないように抜去と同時に鼻の長さを保つ手術(鼻中隔延長術)を必要とします。もちろん短くなってから元の長さに戻す手術をしてもいいのですがはるかに難しくなります。

修正手術で一番重要なことは、以前受けた手術がどういうものだったのか、今の症状との因果関係はどのようなものかということを常に考えることだと思うのです。