「鼻中隔軟骨延長術」の誤解とその有用性
まぶたの動きは上眼瞼挙筋にある、ということはこのブログで何回も書いてきました。この筋肉の動きがそのまままぶたに伝わる、という大前提がクリアされていればまぶたの手術はわれわれ美容外科医にとってコントロールが容易になります。簡単にいえば、患者さんに術前にお約束した手術の結果を果たすことができる、ということです。
鼻の手術、とくに鼻先(鼻尖)の手術で、これに当たるものが鼻中隔軟骨です。鼻中隔軟骨が鼻先まで存在していれば、われわれ美容外科医にとって鼻先をコントロールすることが可能になります。
鼻先を形作っているのは、鼻翼軟骨では?と思われるかもしれませんが、鼻翼軟骨はそれ自体しっかり固定されていないので、これをコントロールしようと思っても思うようになりません(鼻先を小さくする手術、鼻尖縮小術で鼻翼軟骨を一生懸命引き寄せてもなかなか思うような形にならないのはこのためです)。
鼻尖の手術をコントロールするには鼻翼軟骨の位置決めをするためのアンカーが必要です。そのために鼻先まで伸びている鼻中隔軟骨があればその役目を果たすことができます。
しかし通常、鼻先まで鼻中隔軟骨が伸びていることはありませんのでそれを手術で作るわけです。
それが「鼻中隔軟骨延長術」になります。手術の詳細はこちら。
鼻が短くない人には「鼻中隔延長術」は必要ない、といわれることがあるそうですが、それは「鼻中隔延長術」=「鼻を長くする手術」という単純理解からきた誤解です。もちろん鼻を長くするには「鼻中隔延長術」は必要ですが・・・。
鼻先の手術のときにどうしても鼻尖の位置が決まらなくなる、コントロールできなくなる、というジレンマは美容外科医であれば誰でも知っています。
その時に「鼻中隔軟骨延長術」を知っておくと自信をもって鼻先の手術をすることができます。家の間取りを変えるときに、家の中心に大きな「大黒柱」が1本あると思いきった間取り変更ができるのと同じです。
「鼻中隔軟骨延長術」=「鼻延長術」と固定的に考えてしまうには、あまりにもったいない、「鼻中隔軟骨延長術」はそれほど価値のある手術だと私は思っています。もちろん正しい鼻中隔軟骨延長術が行われる、という大前提です。
美容外科医にとって、挙筋腱膜固定術と鼻中隔軟骨延長術は、手術のスキルアップのための必須アイテムです。