美術館巡りその2
時々、展示会が催されると美術館に行くことはありましたが、シャガール美術館を訪れたときに経験したものは初めてでした。
絵画を絵画そのものとしてみることはあっても、その作品の背後にあるものまで考えることは少ないし、特に海外の画家の作品については知ることはできても実感することなど日本にいるかぎりありません。
シャガール美術館に限らず今回の南仏の美術館巡りでは、そういった意味で作品とその背景まで実感することができた初めての経験でした。
シャガールはユダヤ人の家系で、その作品にはユダヤ教の聖書の教えが深くかかわっていました。
今回訪れたニースにあるシャガールの「聖書メッセージ国立美術館」は、そんな彼の作品のうち旧約聖書にかかわる大型の作品が10数点展示されています。
非常によく考えられた美術館で、作品の配置や日本語による作品解説レシーバなど鑑賞する立場を十分に考慮されていると感じました。
さてその作品群ですが、人類の創造からエデンの園、ノアの方舟など創世記に関係した作品と出エジプト記で12点、それ以外の作品を含めて大型作品が17点。
17点をじっくり見るとそれだけで軽く2時間ほどかかってしまいます。
それほど一つ一つの作品が充実していて、その中に暗示されているものを解説を聞きながら解釈するといった作業を繰り返していきます。
普段東洋の果てで生活しているものにとって旧約聖書など触れる機会はまったくといっていいほどないし普段考えることもないのですが、この美術館を訪れている間のほんの一瞬でも触れることでなにか昔から知っているようななつかしい感じすらしてしまうのです。
今回訪れた美術館群のうちここが一番いわゆる美術館らしい(日本人の考える)美術館といえます。
このあとでピカソ、マティスなどの美術館を訪れました。