54回形成外科学会雑感

今回の形成外科学会総会は徳島で行われました。

この規模の学会は1年に1回のペースで毎年4月に開催されます。

学会の幹事は持ち回りで変わり、今年は徳島大学形成外科が幹事校ということになります。

幹事校は2年ぐらい前に決定され、2年後の学会に向けて準備を始めます。

この規模の学会を開催するにはこれぐらいの準備期間が必要になり、たとえばシンポジウム、パネルディスカッションのテーマを決定して演題を募集したり、外人招待講演の準備、会場の手配など2年でもぎりぎりなぐらいです。

今回徳島大学の教授をはじめ教室員のみなさんも大変な思いで学会にこぎつけられたのではないかと思います。

ところが3月11日の震災の影響で、学会直前にプログラムの大幅な変更を余儀なくされ(外人招待講演がキャンセルになり、懇親会もキャンセルなど)、徳島大学としては非常に不本意なものになってしまったのではないかと感じました。

その中で唯一来日され講演が実現したのがカリフォルニア大学の中村修二先生の特別講演でした。

国内でも青色発光ダイオードの発明でよく知られた中村先生ですが、その開発までにご苦労された話や日米の研究環境のちがいについて独特の口調でお話をしていただき大変感銘をうけました。

そのなかで心に残ったのは、決して恵まれていたとはいえない環境の中で苦労して発光ダイオードの生成装置を自らつくり開発にこぎつけ、それが今の華々しい研究成果につながっていると感じている、とのことでした。

苦労された当時は絶望の連続だったようですが、振り返ってみて初めてそのことに気付かれたとのことでした。

絶望的な状況でも研究を続けることができた理由はなんですか、との質問に先生は「怒りでした」ともおっしゃいましたが、「目の前にあるひとつひとつの問題を解決していくことが好きだった」とも言われていました。

私も時々美容外科を取り巻く環境に絶望することもあり怒りを覚えることもありますが、やはり美容外科そのものが好きであり続ける限り前に向かって努力できる、とあらためて考えることができました。

今回の学会に携われた関係者の皆様、本当にお疲れ様でした。そしてありがとうございました。