第111回日本美容外科学会に出席して その1
先週の土曜日は日本美容外科学会が東京でありました。
シンポジウムのテーマは「ピットフォール」から学ぶ でした。
手術にはいろいろな落とし穴があり、それを学会の会員が自らの経験をもとに情報をもちよって会員で共有することで手術の精度を高めましょう、という趣旨らしいです。
特に問題になったのは、鼻の「鼻中隔延長術」についてです。これはいろいろな意味で今、旬な手術であるようです。
この手術は学会の先生の中でも意見のわかれるところなのです。
この手術は一切やらないと断言される先生もおられて、その理由は鼻先を延長する、ということは術後何年か経ったあとで鼻先の皮膚が薄くなるリスクがあるから、というのがその理由のようです。
この手術を推進する先生方は、患者さんの要望があること、もし薄くなったとしても軟骨が飛び出した症例はないこと、軟骨のプロフィールが見えてきてもその修正は十分できること、などをあげられていました。
以下は私の意見です。
まず大前提として、鼻中隔軟骨延長術≠鼻延長術ということです。
鼻を延長する手術にはいろいろあるのですが、それらは鼻先の皮膚を必ず裏側から押すことになるので軟骨であろうが、プロテーゼであろうが、問題は一緒で、極端に延長すれば何らかのトラブルは生じる。
もし鼻中隔軟骨延長術で鼻を極端に延長した場合でも、将来的に鼻先の皮膚が薄くなり、その軟骨のプロフィールが浮き出てきてしまう可能性はある。頻度はわからないが、事実そういう患者さんがいる。
しかしその対処法はあり、プロテーゼが皮膚を突き破ってしまった症例に比較してコントロールしやすいのも事実であろう。
問題は、2点あります。
1点は鼻中隔軟骨延長術で極端に鼻を長くする場合、こういったことが将来的におきる可能性があることを術前に患者さんに伝えてきたかどうか。
もう1点はもしそうなった場合の対処を具体的にどのようにするかを事前につたえてきたかどうか(費用などを含めて)。
このことが患者さんにはっきりと伝えられ、それでも患者さんの要望があれば手術はまったく問題ないといえます。
別の問題で、鼻を極端に延長する以外に鼻中隔延長術の存在意義はあるのか、というフロアからの質問がありました。
それに対して私は確固たる意見があったのですが、学会のときには十分な討議の時間がなかったので言えませんでした。
しかしまさにそこにこそ「鼻中隔軟骨延長術」の存在意義はあるといえるのです。
話が長くなるのでその核心については次回に書きます。