第111回日本美容外科学会に出席して その2

学会の報告を書こうと思いましたが、結局は鼻中隔軟骨延長術の話題になりました。

前回の続きになりますが、うちのクリニックではここのところ鼻中隔延長術がとても多くなっています。

 それだけ患者さんの需要があるということですから、やはり美容外科医としては真正面からきちんとこれに取り組む必要があると思います。

そもそも鼻の手術ひいては鼻尖部の手術の難しいところは、それを形作っている軟骨(フレーム:この軟骨を鼻翼軟骨といいます)がどこにも固定されていないことです。

鼻翼軟骨は、外側鼻軟骨や鼻中隔軟骨に緩やかに結合しているため、鼻先は左右上下にかなり自由に動きます。

逆にそうであるがゆえに、鼻先の手術はその位置を正確に決められないし、術前に予想することがとても難しく、手術後に鼻先が上を向いてしまったとか丸くなったとか、術者自身が予想もつかない事態になることがあるのです。

最近うちのクリニックでは、術前にかなり細かく正確に術後の鼻尖や鼻柱の位置を打ち合わせするようにしています。

横顔の原寸大の写真を使って、どこの部分を何ミリ、さげる、あげる、前にだす、下に下げる、といった打ち合わせをしています。

その結果が患者さんの気に入った鼻になるかどうかは別問題(それについては以前のブログで書きました)ですが、少なくとも術者と患者さんの間でそういった打ち合わせができるようになったのは鼻中隔軟骨延長術のおかげと思っていましす。

左右の鼻翼軟骨の間に、固定された軟骨が延びていれば、それをガイドに鼻翼軟骨のどの部分をどこに何ミリ移動させるかといった操作が可能になるからです。

この手術によって、患者さんのさまざまな要望の鼻に対応できるようになりました。

唯一対応できないのは、動く鼻尖が作れないことといっても過言ではありません。

そのため顔全体の表情の変化に鼻が取り残されるので、そこが問題になることがあります。

具体的には、笑った時に、鼻がより長く見えてしまうことがあります。

したがって手術中に鼻の長さを確認するときには、ここを十分考慮する必要があります。