効果的なフェイスリフトを考える

フェイスリフトで重要なのは、頬上部の特殊な皮下脂肪(CFP)と頬下部の皮下脂肪(JFP)の下垂・変形を修正することです。

CFPが下垂し、ロール状になると法令線が目立つようになるということを前々回の記事で書きました。

同様に、JFPが下垂変形するとマリオネットラインが目立つようになります。

変形の原因は、脂肪塊の浅いところの下垂が深いところよりも大きいために脂肪塊に歪が生じることによると考えられます。

これらを確実に修正する方法はなにかを考えてみましょう。

意外に思われるかもしれませんが、SMASを引っ張るよりも皮膚を引っ張ったほうが効果的です。

なぜかといえば、脂肪の浅いところを引き上げることが歪の解消になることと、この二つの皮下脂肪は皮膚と強く密着しているけれど逆にSMASとは緩やかについているだけなのでSMASをひっぱてもなかなか挙がってこないからです(そもそもCFP、JFPあたりにはSMASあるいはそれに準じた組織は存在しないことがわかっています)。

ところがこの皮膚で引っ張り上げる方法には大きな問題点があります。

それは、皮膚で中途半端に引っ張っても皮膚はすぐに伸びるので効果があっという間になくなる、ということ。

さらに、もうこれ以上伸びません、というところまで皮膚を思いっきり引っ張れば効果は長持ちしますが、そこまで行くと顔の表情は張り付いたような不自然な感じになってしまいます。

この二つのうちのどちらかが、皮膚で引っ張るフェイスリフトの術後に行き着くところです。

思い当たる患者さんや美容外科の先生は多いのではないでしょうか。

そこで、残された道はこれらの皮下脂肪を直接引き上げる方法を考えないといけない、ということになります。