全切開あるいは部分切開による重瞼術の術後トラブルをさけるには
全切開、あるいは部分切開で術後のトラブルをさける方法としては、挙筋腱膜を瞼板からはずさない、もし外れたと思ったら腱膜を瞼板に縫い付けて修復する、ということです。
腱膜がはずれたどうか、わからない、という術者には(そもそも、それがわかれば、外れるようなことはしないのですが・・)、腱膜が外れたことを知る方法として昨日書きました「ミューラー筋」が目安になります。
このあたりの解剖がわかっている人なら、瞼板から腱膜がはずれないかぎりミューラー筋は見えない、といいきれます(解剖が重要だという意味はこれです、解剖学的知識は「絶対」といいきれる原動力なのです)。
ところが瞼板上縁付近の手術をしていて、ミューラー筋に到達したことを直接確認できるならそれに越したことはありませんが(それをみてすぐわかればヤバい、とわかるはずですから)、それがわからないからトラブルになるわけです。
現に昨日紹介した患者さんの術者は、形成外科専門医を持っていらっしゃった先生です。そんな先生でもミューラー筋を切っちゃってもわからない時はわからないのです。
おそらくその時の状況は、術野は大出血、患者さんはとても痛がっていて、術者の先生はちょっとしたパニックだったのだと思います。
そんなときに一番頼りになる指標は、患者さんの痛みの反応と術野からの出血だと申し上げました。
それで早い段階に「手術している層が違う」ということに気づけば、トラブルを回避できます。
ただしこれによって重瞼術後の重大なトラブルを防ぐことはできても、術後の結果を安定させるにはもう一工夫必要です。