美容外科への道~その5~フリーター医

卒後の進路も決まって、卒業・医師国家試験も無事通過。1984年の春、はれて医師として大学での麻酔科研修が始まりました。2年間の麻酔科研修は番外編で書くとして、その間でも形成外科・美容外科への道はあきらめてはいません。

友人からの情報で、そろそろ名古屋大学にも形成外科ができるらしいと知って、「これはよかった、名古屋に帰れるし形成外科にも移れる」ということで、1年目の研修が終わったところで名古屋大学の鳥居先生(当時名古屋大学整形外科講師)にアポをとって相談することにしました。

当時名古屋大学には形成外科の医局はなく、警察病院の形成外科から名古屋に戻っていた鳥居先生が整形外科の医局の中で形成外科診療班として診療を行っていました。

鳥居先生に会ってみると、近々形成外科は独立するからぜひうちに来てください、とのこと。私の方は麻酔科の研修がもう1年残っていることを話して、来年になったら入局することで話がまとまりました。

予定通り2年間の岡山での麻酔科研修を終えた後名古屋にもどり、いよいよ形成外科医としての再スタート、ということで意気揚揚としていました。

ところが名古屋大学に行ってみると、形成外科の独立話はとん挫しており、私のポストのめどは全くついていない状態。いつまでになるかはわからないが整形外科に入って研究生になり、形成外科の独立を待つということになりました。

ちなみに「研究生」とは大学で働く医師のなかで最低身分、無給であることはもちろん研究費を払わなければいけない立場、かつ大学院生でもないため何年やっても学歴にならない身分です。

1986年の春、私は今でいう「フリーター」になり、なんとも情けない再スタートとなってしまいました。以下次回へ。