肝斑の治療について
先日の形成外科学会で「肝斑」のシンポジウムがありました。
この分野でご活躍の諸先生のご発表を興味深く拝聴しました。
シミの治療は、レーザー機器の発展に伴って大変な進歩を遂げました。
ところがこの「肝斑」についてはその原因がいまだにはっきりしない部分があり、皮膚科や形成外科の先生の頭を悩ます疾患の一つとなっています。
そんな中でこの「肝斑」に効くレーザーということで登場したのが「レーザートーニング」だったのです。
それまで「肝斑」にはレーザー治療は「禁忌」とされ、内服薬や塗り薬しか有効なものはないとされていました。
私自身、過去13年間のあいだ肝斑を含めたしみの治療を大学病院と自分のクリニックでおこなってきましたが、「肝斑」の治療の難しさは痛感してきました。
そんななかで「レーザートーニング」という治療に出会ったことは、肝斑を含めたシミ治療の考え方が180度変わったきっかけになったといっても言い過ぎではないというのが私の正直な思いです。
ただし、レーザートーニング治療によって肝斑がなおってしまうという誤解が患者さんだけでなく一部の医師の間にもあることが、時に悲劇を生むことになるようです。
もちろん患者さんに罪があるわけでなく、ひとえに勉強不足の医師に責任があると思います。
レーザー治療を含めた器械による治療はもともと安定した結果を出しやすい治療ですが、肝斑がベースにある患者さんにレーザートーニングを照射する場合はそれなりの知識と観察眼が必要となります。
レーザートーニングの治療は、肝斑という病態を治すのではなく、肝斑がベースにある患者さんでも安全に照射できる可能性が高い治療である、と考えるべきで、レーザーそのものはメラニン色素とメラニン産生細胞に作用するだけであるという原則を忘れないことが重要です。