たれ目形成を100%成功させるキーポイント~その1

下眼瞼下制術(たれ目形成)に限らず下眼瞼の手術は難しい手術が多いと思います。

下眼瞼に関する解剖の資料には矢状断のものがほとんどで、手術の時はこの2次元の解剖知識を3次元に組み立ててイメージしさらにこれに「motion」をプラスする必要があります。

下眼瞼下制術のキーポイントになるのがCPF(capsulo-palpebral fascia)ですが、解剖の教科書レベルの知識ではとうてい手術の参考にはなりません。

そもそもこのCPFがどこの高さからどこまでつながっているのかは、文献レベルでも意見がわかれるところではっきりしていないのです。

下眼瞼の矢状断の連続切片はPRS(plastic and reconstructivesurgery)2007年119巻の6月号に鶴切先生らの報告した文献に詳しく説明されていますが、目を閉じた状態の死体の下眼瞼を用いているため、これを3次元の生きた状態の下眼瞼に翻訳する作業が必要になります。

たれ目にするにはCPFのなかで動きの少ない部分が必要になりますが、上記の解剖切片のうちどこの部分の動きが少ないのか。

これがわからないとたれ目の手術を100%成功させることは難しいと考えられます。

最近私は、それは瞼板筋の結膜側のCPFではないかと考えています。上記の文献でもこの部分は支持組織として静的に働いていると指摘されているうえ、術中の観察でもこの部分は周りの組織に比べて上方に引き出しにくいことがわかるからです。

このブログの読者のなかで「たれ目」の手術を得意としてよくされている先生や、生きた人間の下眼瞼の解剖にくわしい先生がおられましたら一度ご意見をお聞かせください。