患者さんの一言
あたらしい手術方法が生まれるきっかけは、「必要は発明の母」と同じだと思います。
美容外科にかかわらずそのきっかけを与えてくれるのは、ひとえに「患者さんの術後のひとこと」だと思っています。「その一言」によって医者は深く考えさせられ、それが蓄積することによってある日突然新しいアイディアが生まれるのだと思います。
手術後のアフターケアは、手術後の経過が順調であることをチェックし、ケアの指導をするものですが、それと同時に実は我々は患者さんからいろいろなことを教えてもらっているのです。
ある美容の手術をした場合、術者が本当に患者さんの希望をくみ取れたかどうか、その手術がどれだけ患者さんの希望をかなえることができたのか、ダウンタイムの長さはどれくらいか、結果は安定しているのか、術後の変化はどれぐらいの期間続くか、その後はどうなっていくのか、などをアフターケアの最中に一言二言の会話のなかからチェックさせてもらっています。
それは医者にとっては貴重な「宝物」で、それが教科書にも書いていないこと、他の医者がまったく気づいていないことを私に教えてくれたりします。それが多くなれば多くなるほど医者としてはステップアップできると考えています。
アフターケアは患者さんのためでもあるのですが、私には貴重な経験を教えてもらっている、という面もあるのです。
二重の手術後の患者さんから、二重のラインが食い込んで前より腫れぼったいまぶたになったという声を何度も聞いたことがありました。鼻を高くする手術を受けた患者さんからは、鼻先が上を向いたような気がする、という話も何度も聞いていました。
そういった経験から採用している手術に「隔膜前脂肪除去」や「鼻中隔延長手術」などがあります。こういった手術はどちらかというと「転ばぬ先の杖」的な手術だと考えています。