たかが注射、ではありません

先日、愛知医大で皮膚科の先生方の前でボトックス注射の実技指導をする機会がありました。

こういったことは超苦手なのでお断りしたかったのですが、皮膚科の教授からの直々の依頼でしたのでお受けしました。

その時感じたのは、私たち美容外科医は日常的にボトックス注射をしているので、「注射実技でなにか教えること、あるのかな~」と思っていました。

皮膚科の若い(と思われる)先生がたから、非常に熱心に見学され、質問を受けることで、「注射でも教えることがまだまだあるんだな~」とあらためて認識しました。

ボトックス注射をするには特に解剖学的な知識が必要です。

たとえば眉間の縦しわには皺眉筋に直接注射をする必要があります。この筋肉は結構深い所にあって意外に長いのですが、形成外科医は手術でこの筋肉の深さや長さを直接見ることがあるので、注射をする上での大事なポイントが容易に理解できます。

ところが直接手術で見る機会のない医者にとっては、こういった実技セミナーなどで勉強する必要があるわけです。

先日、「私は眉間のボトックスが2週間しか効かない」、と訴える患者さんが来院されよ~くお話を伺ってみました。そこでは眉間のしわに浅く2か所だけ注射をしてもらっている、と聞いてびっくりしました。

解剖学的な知識と実際に実技を見る、ということの重要性を再認識しました。