「こころ」と「傷痕」
10月も今日が最後。この10月は、当初予定していたことが100%近く達成できた気がします。過ぎるのが早かったですが、充実していました。
さて今日は、「傷痕」についてです。
我々美容外科医、形成外科医には「傷痕」は切っても切れない問題です。
形成外科医時代には(今でも形成外科医のはしくれぐらいには思っていますが)ほぼ毎日「傷痕」を「目立たなくする」仕事をしていました。
美容外科に専念するようになって、この「傷痕」に対する考えが以前と少し違ってきました。
形成外科で扱う傷痕は見た目に明らかに目立つ「傷痕」です。誰が見ても「傷痕」と「わかるよう」なものを「わからないよう」にして差し上げることがメインでした。
美容外科ではもっと内面的なこと、傷にまつわるすべてのこと、その傷から自由になれないでいる患者さんのこころ、そういった患者さんのこころをつなぎとめてしまっている「傷痕」というものも考えないといけない気がします。
もちろん形成外科の患者さんも同じように悩んでいると思うのですが、目にみえる「傷痕」の要素が大きすぎて私があまり気付かなかっただけなのかもしれません。
形成外科医からみると「この傷のどこが目立つの?」と思うような傷痕の訴えでも、決して美容外科の患者さんが贅沢を言っているわけではないということが理解できるようになりました。
つくづく「美容外科」は心の問題を扱う外科なのだと再認識しました。