「手術」はどのようなもの?
美容外科で行う手術にかぎらず、手術のうまい下手は術者の手先の器用さによるものと考えがちです。
確かに美容外科医にはある程度の器用さは必要かもしれません。
脂肪吸引術は「彫刻」のようなもの、とか、鼻の手術は「模型作り」のようなもの、とか傷なおしの手術は「裁縫」のようなもの、などなど・・。
このようにいろいろと言われますが、彫刻や模型作りや裁縫に比べると手術は術者の器用さや技術が直接その結果に影響することが少ないように感じます。
こんなに乱暴な手術で結果はさぞかし・・・と思っても意外と素晴らしい結果だったり、逆にこんなに細かく丁寧にされている手術なのにそれほど大した結果の違いが出なかったり。
この原因は、患者さんの創傷治癒能力に負うところが大きいと考えています。
誤解を恐れずに正直にいいますと・・・どんな手術をしても患者さんの体がちゃんといい方向に治してくれる、そういった能力が備わっていると考えられます(もちろん手術歴10年以上の外科医についてのお話で、患者さんの創傷治癒に問題がない場合です)。
そう考えていくと美容外科の「手術」は、どちらかというと「料理」に近いような気がします(不謹慎なたとえは毎度のことで申し訳ありません)。
料理の良否は、料理人の腕に負うところもありますが、素材の良否もかなり大きなウエートを占めています。
素晴らしい料理というのは、素材の良さを十分にひきだされたものと考えると、素晴らしい美容手術というのは患者さんに備わっている元々の良さを十分に生かした手術なのではないかと考えています。