鼻の手術のむずかしさ

先日、私がいろいろな意味で尊敬している東京の美容外科の先生の手術後の修正手術を行う機会がありました。

その先生は、特に鼻の手術でご高名で学会の時に個人的に教示していただいたこともあり、長年の経験に基づいたご意見に恐縮して拝聴させていただいた記憶があります。

私などが意見を言うのもおこがましいのですが、修正手術時の所見からは、予想通りいままで経験した修正手術の中で一番丁寧な手術がなされていて、瘢痕も最小限で軟骨の損傷もほとんどなく、修正手術をする立場からはとてもやりやすく助かりました。

日頃、乱暴な手術の術後の修正をする機会が多く、術中泣かされている身としては、今回の手術は再手術をすることすら憚れるような完璧な手術がなされていました。

やはり鼻の手術は、特に初回は経験豊富な、丁寧で無理のない手術をされる先生にお願いするのが一番かな、と思いました。

しかし、その先生もそうですが、そういった先生は手術を引き受けることに慎重であるかたが多く、そもそも宣伝をあまりしていないので主治医になってもらうチャンスもなかなかありません。

長年の経験で鼻の手術がいかに難しいか、ということを痛感されているからこそ逆に手術に積極的でなくなるというジレンマがあります。

もう一つ、鼻の手術でむずかしさを痛感するのは、それほどの先生に手術をしてもらったとしても、100%すべての患者さんが満足されるわけではない、ということです(現に今回の患者さんのケースのような場合)。

要するに手術が上手である、丁寧である、だからすべての患者さんが満足される、わけではないということです。

逆のパターンもあるから美容外科医の評価は一層難しくなります(乱暴な手術で繊細さのかけらもないドクターでも患者さんを満足させられる、というケースは結構多いからややこしい)。

さらにいえば、鼻の手術の本当の結果は、数年経過しないとわからないところがあり、美容外科医にとって新しい手術にチャレンジすることは決して容易ではない、ということです。

見方を変えれば、新しい手術をどんどんやるドクターほど危ないということにもなります(一般的に数をたくさんこなしているドクターは手術がうまい、と思われがちですが、そうとは限らないということ)。

以上のことから患者さんにとって、鼻の手術を受けてそれが成功して満足するということは結構奇跡に近いものがあります。