挙筋腱膜
数日前に、眼瞼下垂の手術をすると内側が挙がりづらく、外側が開きすぎる傾向がある、という内容の記事を書きました。今日はその原因についての私見を書きます。
挙筋腱膜が1枚ではなくいくつかの層に分かれていることも以前書きました。またそのうちの一番内側(眼窩脂肪に一番近い層)の挙筋腱膜が一番パワフルといわれています。
もうひとつ、まぶたの外側は眼窩脂肪の位置が低いということはよく知られています。
このことをすべて考え合わせると、なぜまぶたの内側では挙がりやすく外側では挙がりにくいという差がでるかが理解できます。
まぶたを切開すると眼輪筋の下に脂肪が現れます。外側ではこれが眼窩脂肪になりますが、内側ではまだ眼窩脂肪ではなく隔膜前脂肪です。
この脂肪が全部眼窩脂肪だと思って手術をすすめると、外側は挙筋腱膜を前転固定できるのですが、内側は隔膜前脂肪の間の筋膜を固定することになります。
隔膜前脂肪中の筋膜にはまぶたを挙げる力はありませんので、冒頭に書いたような現象が起きることになります。
この手術に慣れてくると、primaryの症例であればこの間違いは回避できるのですが、修正手術になるとよほど気をつけないと挙筋にたどりつけません(とくに内側)。
とにもかくにも眼窩脂肪を見つけることが第1ですが、修正手術ではかなり奥に存在している可能性があるので、さらに間違いやすくなります。