美容外科医になるためにその14~形成外科医としての基本
卑しい美容外科医にならないためには、自分を本当の意味でのRich manにすることが必要です。
心ある美容外科志望の医師であれば、この「Rich man」の意味を取り違えないで正しくご理解していただいていると思います(巷に見受けられるキラキラの金持ち「風」美容外科医を想像しているのでなければ大丈夫です)。
実はもう一つ、患者さんを不幸にしてしまう美容外科医の種類がいます。
とにかく、手術がしたいから来院した患者さんには必ず手術する、という貪欲な医師です。
外科医であれば、手術をしたいと思うのはある意味致し方ないことです。
またそういう医師のほうが手術症例をたくさん経験できるのでいわゆる「名医」と呼ばれることもあるかもしれません。
手術経験症例「10,000例」などと吹聴する医師がいますが、私から言わせるとこれは「切り捨て御免10,000例」としか聞こえません。
きちんと手術を考えて準備をし、手術も全力で行い、術後も検診を定期的に行っている医師であったならこんなにたくさんの患者さんを手術することは不可能です。
要するに手術以外のどこかのステップを省かない限りこれだけの数の手術をこなすことは不可能です。
その場合、省かれる可能性が高いのが術後の検診で、手術をしたらいっさい患者さんを診ない、と豪語する美容外科医もいます。
術後の経過を診ないことは医師の時間の節約になるかもしれませんが、問題点がいつまでたってもわからないので、同じ過ちをおかすことにもつながります。
こういった美容外科医にならないためには、このシステムが医師本人だけでなくクリニック(病院)全体の問題であることが多いことを知る必要があります。
術後の患者さんを医師に会わせないように、スタッフが長年教育されているとなると一朝一夕では改善が難しいかもしれません。
もちろん医師だけで診療を行うのは難しい場合、スタッフと協力しながらのチーム医療が必要ですが、術後の検診は術者自らがチェックしなければ検診の意味がありません。
美容外科医になる前に形成外科研修時代を過ごしている医師にとって、これはあたりまえのことで、自分の手術の経過に責任を持つことと興味を持つことを美容外科医になっても続けていかなければいけないのです。