美容外科医になるためにその15~うんざりするほどダークな世界でも

ここまで、「形成外科」を修了して「美容外科医」になろうと考えているドクターに向けて参考になれば、と思って書いてきました。

結局は、医師あるいは外科医としての基本であるところの、術前の綿密なカウンセリング、丁寧な手術、術後のきちんとしたフォローアップ、が美容外科においても重要であることがわかります。

美容外科だからといって特別なものは何もありません。

ところがこの基本すらまともに守られないのが今の美容外科の現状です。

それどころか、残念なことにもっと「くだらない」「情けない」世界が美容外科を取り巻いているのです。

それは特にいまのようなネット社会になってからひどくなっているようにも思えます。

巧妙な偽りの宣伝広告、同業者によるたくみで狡猾な足の引っ張り合い、まったく科学的根拠のない治療行為の横行、医療の安全を無視した診療体制、など知れば知るほどうんざりするような状況があります。

私自身開業してネット被害者になるとは予想もしていなかったために、次から次へとおこるネット上のまったく身に覚えのない中傷誹謗に対して一時医師不信に陥ったこともあります。

名誉棄損に触れるような事例には、何もしないでやり過ごそうとするよりもただちに「法のプロ」にお任せするほうがいいことも知りました。

いざ美容外科で開業するとなかなかきれいごとだけでは生きていけないことを知り情けないやら落胆することもありますが、納得できないことには毅然とした態度で臨むとともに、一方では診療の基本であるところの「患者さんの満足」という美容外科の目的を決して忘れないようにすることが重要です。

いやな面を補って余りあるほど魅力のある「美容外科」というものを信じてもいい、と思いたいし、そう思える同業者が増えることを心から願っています。