鼻尖縮小術 その1
前回の記事で「鼻尖縮小術」のことに触れました。
あれだけ振っておきながら、自分の考えを言わないのはアンフェアだと指摘されそうなので書いておきます。
最近、鼻の術後修正依頼で最も多いのは、手術したら余計に鼻が大きくなって目立ってしまった、という訴えです。
その内容は鼻先の少し頭寄り(適切な日本語の解剖用語がないので英語の「supratip」を使います)が膨らむことと太くなることが気になるというものです。
術直後はそれでも少しすっきりしていたが1か月過ぎぐらいからその部分が膨らんできた、という方が多いようです。
このsupratipがふくらむと正面から見るとコアラのような印象の鼻となり、側面では鼻先が垂れたように見えたり鼻先が丸く見えるようになります。
そういった鼻のほうがかわいいという患者さんに実際にそのような鼻にしてみてもらうとほぼ全員上記のような訴えになります。
この「supratip」あたりをすっきり見えるようにすると、鼻筋が長く鼻先まで通っているように見えるようになり、鼻先がとがって見えるようになります。
このような鼻を手に入れるのに必須の手術が「鼻尖縮小術」です。
一般的に、左右の「鼻翼軟骨」を中央に引き寄せるのが「鼻尖縮小術」と誤解されているのですが、「鼻尖縮小術」の最終目的は鼻筋が鼻先まで通って「みえる」ようにすることと結果的に鼻先がとがって「見える」ようにすることです。
実は鼻翼軟骨を引き寄せるとsupratipが盛り上がって鼻が大きく見えるようになってしまい、かつ鼻先をつまんだようないわゆる「ピンチノーズ」になるので、本来の目的と真逆の鼻になる可能性があります。
そのことが冒頭の患者さんの訴えにつながるわけです。
それを防ぐ方法として、少し専門的になって患者さんには理解が難しくなるかもしれませんが、軟骨移植でcaudal seputmを延長してその移植片の両側にcephalic trimをおこなった鼻翼軟骨外側脚を左右それぞれできるだけ低い位置で尾側に固定することと、鼻翼軟骨内側脚の補強を軟骨移植でおこなうことで鼻柱を強くし、この部分を少し頭側に回転させる(もちあげる)、ということを行っています。
もうひとつの成功へのカギは、鼻背の尾側部分をできるだけ低くしておく(高くしない)ことです。
プロテーゼが入っていればこれを低くするか短くする、そうでなければ軟骨部分まで含めた骨切りをして高さを抑えます。