美容外科医になるためにその16~美容外科医の仕事とは

以前の記事で美容外科とはなんであるか、現役美容外科医ですらよくわかっていないこともある、ということを書きました。

美容外科は、手術によってそれを受けた患者さんの心の動きをコントロールする科です。

もちろん治療である以上は患者さんの心をいい状態にすることを目的とします。

手術を受けた患者さんがどのように感じるか、どのような反応を示すか、そのことについて術者は十分に理解していなければいけません。

もちろん受け止め方は患者さんによって千差万別ですから、術前に起こりうることすべてに熟知している必要があり、かつそれを患者さんにもお伝えしなければいけません。

一方、美容外科においては、手術を受けた患者さんが納得することであれば何をやってもいいというものではありません。

そこには美容外科医としての、もっと言えば医療としての「倫理」「モラル」というものが守られていなければいけません。

さらに言えば、共通したゴールのない美容外科であるからこそ、また直接的な生命とのかかわりが少ない科であるからこそ、一層厳しい社会的なルールが適用されなければいけないという側面もあります。

つまり、美容医療においては、きわめて「パーソナル」な部分と、「社会通念」的な部分の両方が存在していて、どちらも重要であることはもちろんですが、どちらも一般医療よりも極端なものを求められている、という特徴があるといえます。

したがって美容外科医は、すべての患者さんの心の内にあるものに常に人一倍敏感であるとともに、社会通念や常識、倫理といったものにも熟知していなければならず、それが時代とともに変化しているものならば、常にアップデートされていなければなりません。

少しわかりにくい書き方をしたかもしれませんが、要は、「美容外科」を仕事として考えた場合、きわめて狭い世界と逆にきわめて広い世界を同時に扱う必要のある、とても面白くやりがいのある仕事であるといえます。