きれいな手術のための心がけ
瘢痕のコントロールで重要なことはいろいろありますが、まずは組織のダメージの最小化が重要です。
簡単にいえば手術中いかに生体組織を丁寧に扱うか、ということです。
形成外科の先生は、このあたりのトレーニングを若い時からいやというほど仕込まれています。
皮膚ばかりでなく皮下組織、筋肉組織などにも同じように丁寧なあつかいを必要とされます。
ピンセットで組織をつまむ時でも、ぎゅっと持ってはいけないのです。
ギュッと持つとそこが損傷を受けることになり、余分な瘢痕ができてしまうからです。
次に大事なのは、出血を止めることです。傷のなかに血を貯めないことも重要です。それが多いと瘢痕や瘢痕による癒着、拘縮が生じます。
まぶたの手術などは手術中に丁寧に止血できるのですが、止血しづらい手術(眼面骨、鼻、豊胸など)には瘢痕が大量にできやすいのです。
したがってこういった手術では術後の出血予防のために圧迫を必要とします。
このあたりは手術の基本ですが、さらなる瘢痕のコントロールには死腔の予防、創傷にかかる緊張の軽減といったことも重要です。
これらは傷(皮膚の中のすべての傷)を隙間なくぴったりあわせるいうこと、傷をゆったりと緊張がかかっていない状態であわせるということ、と理解してください。
このことも形成外科医にとっては基本中の基本です。もちろん美容外科においても結果がきれいでトラブルの少ない手術をするうえでとても重要になってきます。