鼻中隔軟骨延長術のリスク~その1~

連日、鼻中隔軟骨延長術(SEG)のカウンセリング、術前説明、そして実際の手術が続いています。

患者さんからの質問で一番多いのは、「ネットで見るとSEGは曲がる、といわれているけどどうなの?」というものです。

SEGのリスクである「曲がり」について、その原因として考えられるものは大きく分けて3つあります。

まずは医者側の問題、次に患者さん側の問題、それ以外の問題です。

医者側の問題としては、クリニックによって手術の方法、特に「移植軟骨の固定法」と「移植軟骨の選択」の違いがあるということです。

SEGは鼻中隔軟骨に移植軟骨を継ぎ足して長くする、というのが原則ですが、継ぎ足した軟骨をどのように固定するか、移植軟骨として何を使うか、ということが問題になってきます。

固定法については、SEGに関連した過去の文献にいろいろ書かれています。

私が取り入れている手術法の詳細については、雑誌「形成外科」の2012年8月号に載せていますのでご興味があればそちらを参考になさってください。

やや詳しく説明すると、end to end(端端固定)、side to side(側側固定)、bilateral side to side(挟み込み固定)の三つがあります。

固定の強度はこの順番に強くなります。

移植軟骨の材料としては、鼻中隔軟骨、耳介軟骨、自家肋軟骨、他家肋軟骨があり、この順番で大きなサイズのものが採取できると思ってください。

日本で行われているSEGは、このどれかの組み合わせによると考えられますが、実際に他医でSEGを受けられた患者さんの術後修正術をしてみてわかったのは、移植軟骨が鼻中隔軟骨に全く固定されていないにも関わらず、SEGであると説明をうけたかたが結構おられるという事実です。

確かに固定されない軟骨移植(floating)というものはありますが、少なくともSEGに関しては鼻中隔軟骨に固定されていなければSEGとはいえない、というのが私の考えです。

こういったケースも含めて、SEGを受けた術後に「SEGは術後に曲がる」と言われているのだということです。

移植軟骨がしっかり固定されていて、十分な強度かつ十分な量の移植軟骨が用いられたにも関わらず曲がった、ということであれば、それが本当の意味でのリスクと考えられます。