私の考える美容外科
今年最後の投稿として、一言。
私にとって今年一番の驚きは、私の尊敬していた美容外科の先生の一言でした。
それは、「美容外科には診断はない」というお言葉です。
その意味は・・・、美容外科では手術の選択権は患者さんにあり、美容外科医は患者さんの依頼を受けてそれを請け負い、確実な手術をすることが美容外科の診療で、ドクターの診断は不必要である、ということだと受け取りました。
もちろん私は、この意見に反対です。
美容外科ほど診断が難しい科はない、と思っているからです。
今までにもこの場で何度も書いてきましたが、美容外科の手術の最終的な目標は、患者さんの心に満足感をもたらすこと、それ以外にはありません。
術前計画を立てて、それを手術で忠実に具現化する、などといった段階は、美容外科医にとって当たり前であります。
その前の段階、つまり患者さんの真の要望を深く理解し、さらにその手術が患者さんにもたらす影響がなんであるか、それが本当に正しい選択であるかどうか、それを判断することが美容外科医に問われる真の命題であります。
それには術前にいろいろな面から患者さんを深く理解し、術者の過去の経験に照らし合わせながら非常に難しい診断を下していく必要があります。
だから「カウンセリングが重要」ということになるわけです。
さらに言えば、自分の下した「診断」が正しかったどうか、それを知るには長い期間の術後のフォローアップが必要になります。
本当の美容外科には、とても難しい術前診断と長い期間の検診が不可欠であり、私が考える医学としての美容外科がそこにあると考えています。
美容外科をそうとらえると、逆に美容外科ほど医学らしい科はないとさえ思えることがあります。
うちのクリニックで一度でもカウンセリングを受けたことがある患者さん、さらに手術まで受けられたことがある患者さんであれば、私の美容外科に対するこういった考えを容易に理解していただけるのではないでしょうか。
来年も再来年も、こういった考えが変わることはないと思っています。
今後ともよろしくお願いします。