美容外科カウンセリングその8

前回までの記事に書きましたように、本来美容外科のカウンセリングがまともに実践されることは容易なはずです。

医学的知識のない患者さんでもちょっと常識を働かせれば、まともなカウンセリングかどうか簡単に判断できます。

しかし、現実はそうではないようです。

美容外科医が自分自身のカウンセリングで患者さんの希望を正しくとらえられたかどうか、それにかなった提案をできたかどうか、その結果手術で実際に患者さんの希望を実現できたかどうか、そしてそれを次のカウンセリングにフィードバックできたかどうか。

それらの繰り返しでしか本当のカウンセリングを身に着けることはできません。

そのために一番重要なのは術後の検診です。

患者さんの術後の訴えを素直に聞く、ということですが、これは一見簡単そうでなかなか難しくつらいことです。

はじめのうちはいつも患者さんが術後にいい評価をしてくれるとはかぎりません。

まともに聞いていたらメンタルがやられてしまうかもしれません。

美容外科医の中には「検診は文句を言われることと割り切って聞き流すことにしている」というドクターもいます。

それでもちゃんと検診しているだけ「まし」ですが、中には検診は無駄と割り切ってドクターは術後に顔を出さない、というクリニックもあります。

しかしこれでは自分の行った手術が、患者さんの希望を正しくとらえ、それをかなえることができたかどうかわかるはずもありません。

また以前に自著の中でも書きましたが、検診料をとっているクリニックは少なくしたがって検診は経営的にも時間の無駄です。

私もほかの美容クリニックの勤務医だったころそうであったように、術後検診はすればするほどメンタルはやられるは、時間の無駄、で美容外科医にとっていいことはないと思っていました。

手術の知識は成書や学会で得ることもできるし、また同僚の仲間に相談したりすれば情報も得られます。それで十分じゃないかと考えてました。

ただ、八事石坂クリニック開業後改めて考えなおし、美容外科の手術の本来の目的~どんな形にしろ「術後の患者さんの満足」を仕事の使命にするのであれば、それを受けたことのある患者さんの言葉ほど的確なものはないはずだ、という考えに達しました。

確かに検診をしっかりすると、時間を取られ経営も苦しくなり、メンタルがやられることも度々ありましたが、今になって思うとこのやり方が「王道」だったなと確信しています。

これは成書には書いてないことなのです。

日本の美容外科クリニックの中で、うちのクリニックが一番検診に力を入れていると自負できるし、ほかのクリニックはまねできない、と確信しています。

では患者さんから見て、こういったクリニックをどうやって見抜くか、それを次回に書きます。