美容外科カウンセリングその10

なぜ美容外科でカウンセリングと検診が軽視されやすくなるのか、あるいは重要だとわかっていても時間が取れない、のはなぜか。

今回も主に形成外科専門医を持っていてこれから美容外科で独立しようと思っているドクターに向けて書きます。

これは美容外科医療の構造的な問題で、従来からカウンセリングや検診に費用が掛からないのが普通になっているからです。

逆にカウンセリング費用はきちんといただいて「しっかりしたカウンセリングをしていますアピール」をするところもありますが、内容が5分10分だと患者さんにとってはますますカウンセリングにお金を払うのが嫌になります。

無料術前カウンセリングは患者さんから見ると費用がかからないので気軽に受けてみようということになりますが、我々からすると何人来てもらっても売り上げにならない、ということになります。

また術後検診についても同じことがいえますが、本当に経過良好だと時間は数分で十分なことが多くそこがカウンセリングと違うところです。ですから検診料を取るところは本当にまれです(八事石坂クリニックも検診料は取りません)。それよりも患者さんに対して術後来院のハードルを上げないという意味では無料のほうがいいとさえ思うこともあります。

いずれにしても限られた時間で売り上げを上げるには、この二つはできるだけ手短に済ませ最も売り上げにつながる手術を増やすことが大事で、それがクリニックの経営安定にもつながります。

そうすると必然的にカウンセリングの内容は、「手術前提」もしくは「術前説明」になってしまうわけです。

もっと極端に言うと、「本当のカウンセリング」をすると患者さんの意にそぐわない内容もお話ししなければいけない場合もあり、患者さんの手術に対する意欲をそぐことになりかねません。

つまりそういったカウンセリングは、売り上げに寄与しないどころかかえってマイナスになってしまう恐れがあります。

美容外科医になりたての頃は、希望に燃え熱心に患者さんの本当の希望を聞き出しそれ対してベストと思うことをお話する若いドクターもいますが、じきに手術の成約率のあまりの低さにボー然として「カウンセリングでは余計なことは言わないほうがいい」ということを学習していきます。

ここに立派な「手術請負美容外科医」の誕生を見ることになるわけです。

患者さんの希望した手術を黙ってお引き受けする「手術請負美容外科医」に本来のカウンセリングを期待することは無理です。

本来のカウンセリングが難しいもう一つの理由は次回書きます。