美容外科カウンセリングその14
前回の記事でトラブルケースの分析をしました。
今回は患者さんの術後の不満足を回避する方法を現状も含めてお話ししたいと思います。
正攻法で行くならば、術前カウンセリングでマイナス面を強調することで患者さんに手術を考え直していただく、というやり方です。
手術が好きでやりたくてたまらない美容外科医だとこれはとてもつらい選択だと思いますが、術後のトラブルの大変さを考えれば一番無難なやり方です。
ただし結果的に手術を断ることになることが多いので、くれぐれも患者さんに失礼のないように丁寧に説明することが肝要で、これはこれで簡単ではありません。
当クリニックで過去にあったことですが、カウンセリングで手術の結果に対する理解が難しいと判断した患者さんに、こちらとしては手術をすることは難しいことをかなり丁重に説明したと思ったのですが、それ自体に不満を感じられたようでネットにひどく書かれた覚えがあります。
カウンセリングの段階でこうなのですから、ましてや手術した日にはきっと大変なことになっていたと思いますので結果的に正しい判断だったのですが、当時は大変悔しい思いをしました。
患者さんに手術を断念してもらうことにこれだけエネルギーを費やすことが意味があるのだろうか(それまでに4回ほどカウンセリングしていました)、そればかりかこんなに非難されて、自分のやっていることがばかばかしく嫌になった時期もありました。
この時に初心を忘れ魂を悪魔に売り渡して手術をすすめていたら、今の八事石坂クリニックはなかったと思います。
おそらく、ある意味こんなバカげた対応をしているクリニックはほかにはないと思いますのであまり参考にはならないかもしれません。
「そんなきれいごとで美容外科クリニックは経営できないよ」これは私がこのクリニックを開業した時に同業者から言われた言葉です。
要は、美容外科医自身が自分の限界を見極めどんなクリニックにしたいかをよく考え、トラブル対応をふくめた診療方針や経営方針を決め、それを信念をもって遂行することが一番だと思っています。
これまで美容外科カウンセリングについて書いてきましたが、結局カウンセリングスタイルには診療方針や経営方針が切っても切れない関係にあります。
さらにクリニックの方針は院長である美容外科医自身の性格、あるいはクリニック経営者の考え方などに大きく左右されるので次回からは経営についていろいろなケースを踏まえて書いていこうと思います。