羹(あつもの)に懲りてなますを吹く
一般にリスクとは危険性と考えられています。
別の言葉でいえば「予想できないこと」「不確定要素が大きいもの」になります。
不利益なこともありますが、そうでないものが含まれる場合もあります。
手術のリスクを考えた場合、患者さんによってそのリスクの大きさが変わってきます。
手術によって得られるメリットと手術に伴うリスクを天秤にかけて手術を受けるかどうかを決めていくことになります。
ここを丁寧に説明することで患者さんが手術を受けるかどうか的確に判断できるように手助けすることが我々の大きな責務になります。
日ごろカウンセリングをしているとこのリスク説明に関して苦労することがあります。
同じリスク説明をしていても患者さんによって受け取り方が違う場合があるからです。
具体的に、
脂肪吸引の例で説明しますと、手術で命がなくなる場合もあります(非常にまれではありますが)。
しかし可能性としては完全な0ではないのでここまで説明する必要があるかもしれません。
この話を聞いて、患者さんによっては手術をやめてしまう方もいます。
クリニックの中には、あまりリスク説明をしないところもあります。
そういったところほど患者さんが集まり手術件数も増える傾向にあります。
この矛盾をどう考えますか?
実際に危なっかしい手術をリスク説明なしにすることで有名なクリニックがありますが、案の定そこでよくない結果になった患者さんの修正相談をうけ、その手術説明(通常のリスク説明をふくめて)をしましたところ、怖いからやめます、と辞退されました。
まさに「羹(あつもの)に懲りてなますを吹く」
ですね(笑)。
この患者さん、最初は「前のクリニックで何の説明もなくこんなになってしまった!」と憤っていて「ぜひ先生のところで治してほしい」とおっしゃってました。
かなり丁寧に詳しくリスク説明をしたところ、前述した結果になりました。
こんなことは日常茶飯事です。
よほどのクリニックでない限りできるだけ患者さんに悟られないように?リスク説明はこっそり気づかれないようにしますよね笑。