美容外科手術でトラブルを避けるために23

形成外科専門医を持っていてこれから美容外科を始めようと思っている医師に向けて書いています。

前回から鼻について書いています。

普通、美容外科医が初めてする鼻の手術は「隆鼻術」だと思います。

クローズアプローチで鼻骨骨膜下を剥離してシリコンプロテーゼを挿入という手術です。

形成外科をパスして「いきなり美容外科医」になったドクターにとってはあまり違和感がないと思いますが、形成外科から入った医師にはちょっと違和感あると思います。

こういったいわゆる「盲目的に剥離する」手術は、形成外科の手術手技にはありません。

直視下に術野を見たいと思うのが形成外科医の「さが」というものです。

これは形成外科医に限らず他の一般外科系医師にも言えることで、術野を見ないで手の感覚で剥離するという行為はかなり特殊な手術手技であることを「いきなり美容外科医」の先生には改めて知ってほしいと思います。

美容外科がトラブルの多いいい加減な科と思われる原因がここにあるともいえます。

手術は安全に確実に行うことが第一で、その次に傷は見えるところも見えないところも最小限にすることを心掛ける、というのが正統な考え方だと思います。

意外と「いきなり美容外科医」によって行われた手術の修正をすることで分かったことは、創がひどく傷の中の瘢痕形成も尋常でないことが多いのです。

それだからこそ傷をきれいに治すことをずっと修練し、組織の扱いも丁寧にすることを体に叩き込まれてきた形成外科医は自信をもって美容外科手術を行う資格があるといえます。