美容外科手術でトラブルを避けるために35
慎重すぎるぐらい安全な手術で安定した結果を求めているドクターに向けて、私自身の経験から書いています。
しかもあまり防衛的になりすぎることなく、8割の患者さんの要望にお応えして手術を積極的にしていきたいと思っている医師に役立つような内容にしています。
いよいよ軟骨移植による鼻中隔延長術(以下SEG)の「本題」になります。
移植軟骨の選択、移植軟骨の移植方法、固定法について書いていきます。
移植軟骨の種類はよく知られていると思いますが、鼻中隔軟骨、耳介軟骨、肋軟骨になります。
教科書的には、必要とされる強度や大きさで選択するとなっています。
我々の修正手術の経験からいうと無難な選択は耳介軟骨と肋軟骨の2択になります。
なぜ鼻中隔軟骨は不適かといえば、よほど鼻が大きく鼻中隔軟骨から大きな移植軟骨を採取できる人がいれば別でしょうが、日本人でそこまでの条件を満たすことができるケースはほとんどないからです。
そこで無理に大きくとると鼻中隔軟骨そのものの強度が下がる(これについて西洋人でも術後に鼻背の高さが下がる例がみられるという論文があります)ことが起きます。
そうかといって軟骨採取を小さくすれば、術後の鼻先の位置を維持するのに十分でなくなり、この手術の重要な目的が失われます。
耳介軟骨は曲がりが問題になるとされていますが、両側の耳甲介軟骨を合わせることでかなりの部分対応できます。
もちろんこの合わせ方にもちょっとしたコツがいりますが、耳甲介軟骨の採取の仕方も重要です。
まずはそちらを書いていこうと思います。