美容外科手術でトラブルを避けるために65

形成外科研修を終わってこれから美容外科を始めようとしている医師に向けて書いています。

いわゆる隆鼻術について、今回は移植材料の挿入の仕方です。

話の流れから行くとI型プロテーゼ(鼻先は軟骨移植になりますのでL型は用いないことになります)の挿入ということになります。

クローズ、オープンアプローチにかかわらず、正確な解剖学的な知識をもってアプローチすることが重要です。

初心者にありがちなのは、クローズアプローチで右の鼻腔内切開から鼻背に剥離腔を作成するときの右鼻翼軟骨の損傷です。

鼻の修正手術は基本的にオープンアプローチによることが多いのですが、前回の手術がクローズアプローチで行われていた場合のほとんどの症例でみられます。

中には鼻翼軟骨と鼻腔粘膜の間を剥離されていたケースもあります(ここを剥離するのは意識してやろうと思ってもなかなかできるものではありません、汗)。

きっとクローズアプローチしか経験がなくて鼻翼軟骨の全体の形や位置がわかっていないのが原因と思います。

患者さんはできるだけ見えるところに傷をつけたくない、という願望がありますから初心者はどうしてもクローズアプローチで引き受けてしまうことが多いと思うのですが・・・。

初心者ほど最初はオープンアプローチでしっかり解剖学的な知見を深めてからいろいろなアプローチを試みるほうがいいと思いますので、術者になる機会はもちろん助手についたときでも鼻翼軟骨の状態をしっかり頭に入れておいてほしいものです。