鼻中隔延長術その2
鼻の手術の代表格である「隆鼻術」の場合、鼻の穴の中を切り、結果的に外から傷が見えません。この方法を「クローズアプローチ」と言います。
それに対して鼻柱の真ん中に横切る傷ができる方法を「オープンアプローチ」といいます。手術の視野(術野といいます)はこちらのほうが圧倒的に良好です。簡単にいうと手術がやりやすいのです。
患者さんにとっては、クローズのほうが傷が見えなくてすむので好まれます。
我々美容外科医ももちろんそのほうがいいのですが、こと「鼻中隔延長術」になると事情が異なります。
結論から申し上げると「鼻中隔延長術」の場合、ほとんどが「オープン」になります(このあたりのことを2年前の北海道の美容外科学会総会のシンポジウムで発表しました)。
「鼻中隔延長術」でもっとも難しいのは、いかにまっすぐに鼻中隔軟骨の長さを延長できるか、です。
延長すれば延長するほど、ちょっとした歪みが大きくなり鼻先が曲がってくるのです。しかも術後3カ月ぐらいまでは曲がってくる可能性があります。
これを防ぐ方法はいろいろあるのですが、とにかく2枚の移植軟骨をしっかりとまっすぐに鼻中隔軟骨に固定することが重要です。
そのような操作のいる手術は、よほどの名人でない限り「クローズ」では無理です。
そうかといってクローズでこの手術をする努力を怠るのは我々美容外科医の怠慢かもしれません。
しかしまずは鼻中隔延長をまっすぐにできるということを確実にしてからだと考えています。