術前術後

先週週末、国際形成外科学会に出席していました。国際学会とはいってもアジア太平洋セクションなのでやや小規模でしたが、それにしても出席者が少なくちょっとさみしい感じがしました。

台風の影響、円高の影響など原因はいろいろ考えられますが、先月の日本美容外科学会の方がよっぽど盛況だったように感じたのはわたしだけでしょうか。

学会の発表を見るときにいつも気をつけているのは、発表の術前・術後の写真をみて「なにがよくなっているか」という点です。

実は美容外科、特にフェイスリフト手術関係の発表ではそれが非常にわかりにくいのです(もちろん自分の発表の写真もそうなのかもしれませんが・・)。我々ですらそうですから一般の患者さんが見てもおそらくその変化がわからないと思います。

ここからわかることは、まず写真そのものの限界。実物は3次元的にみて若がえっているのですが、それを2次元の写真にして術前術後をひかくすると情報量が半分以下になってしまう。患者さんは本当に若返っても、写真にするとそれがほとんど分からない、といった可能性があります。

さらにもうひとつ。それはたとえばフェイスリフト手術の変化とはその程度のものなのかもしれない、という点です。国際学会レベルですからその国のトップレベルの医師の発表であることは間違いないわけですが、それですらこれぐらいの変化なのだという事実です。

このことを患者さんに知っていただきたいのですが、人間の顔はそんなに簡単に変わらない(若返らない)ということです。もちろん長期的経過をみて、という前提です。手術をうけて2~3か月はいいのが当たり前で、それ以後1年・2年と経過した時点でどれだけいい状態が保たれているのかというレベルの話です。

それにしてもそういったトップレベルの先生の発表の写真が、きちんとした条件で取られていないどころかスナップ写真レベルでしかも術前術後の条件がまったく違っていて、そういう写真を見せられてもなんの説得力もないのは非常に残念でした。