埋没糸抜去顛末記
引き続き「容疑者美容整形」の件で周囲がなんとなく落ち着きません。
今回の手術に関係してしまった先生やそのクリニックの関係者もマスコミなどの取材で大変のようです。どうか1日でも早く犯人逮捕で事件が収束に向かうことを祈っています。
私は今回の事件にからんで、どの情報源が一番確かな情報を発信しているかそして早いものなのかを冷静に観察させていただいています(以前の記事に書いたのですが、ネットに書かれている情報は数が多くて早いのですが、本当の情報は大部分のガセネタの中に埋もれてしまって一般の人にはそれを見分けられないだろうということを痛感しました)。
昨日はなぜか男性の患者さんからの相談が多い1日でした。普段は9割以上が女性の患者さんなのに・・・まさか今回の事件に触発されたわけではないとおもうのですが・・。
午後からは埋没法による二重の患者さんの糸抜去がありました。4~5年以上前に某美容外科で4点留めでうけたものでラインは全く問題ないのですが、御本人の「手術をしていることに対する自責の念」で抜去を希望されました。
親御さんにもついてきていただいて、埋没抜去は糸を入れる手術よりもはるかに難しいことや抜去後の二重のラインが変化するあるいは消えてしまう可能性があることをご説明して手術となりました。
埋没法にはいわゆる「点留め」と「ループ留め」があります。私はもっぱら後者によって手術をしていますが、この患者さんは前者でうけておられました。
抜去する立場からいうと「点留め」は糸が深くきつく留めてあるのでこれを探すのは極めてむずかしく、そういった方法で手術している先生ご自身ですら「抜去はできません」と断言される方もおられるそうです。
案の定最初の30分は1本の糸すらみつからずあせるばかりでした。その後最初の糸がやっと見つかって抜去、糸の全長はわずか5mm、糸はすでに透明になっていました(挿入時はブルー糸)。
若い看護師さんの目も総動員しての大手術でした。手術時間は正味3時間。埋め込まれた4本全部抜去することができました。最後の糸が抜けた時には喜びと眼精疲労で涙がでてきました。