学会報告
先日開かれた「美容外科」学会のテーマは「眼瞼下垂」でした。
宇津木先生のご努力で大変有用な学会になっていました。眼科、形成外科、美容外科の先生がシンポジウム形式で討論するのを拝聴するという形式でハイレベルな学会になっていたと思います。
あえて言うならば、会場のセッティングに少々難があったのと時間があまりに少なすぎた、というのがとても悔やまれます。
さて内容についてですが、私の印象は一言でいえば「眼瞼下垂」というテーマの取り上げ方の難しさです。
この場でも過去幾度となく書いてきましたが、「眼瞼下垂」というのは病名、あるいは病態を表す言葉です。手術の方法をいうわけでもなくその改善方法を指すわけでもありません。
したがってこの「眼瞼下垂」をテーマにしてしまったら内容は膨大なものになってしまうことは明白です。つまり半日そこらの学会では到底結論など出ようはずがありません。
参加した学会員の多くがきっと、今回の学会でわかったようなわからなかったような、そんな印象をもたれたのではないかと思うのです。できれば日頃の美容診療になにか役にたつようなひいては患者さんのためになるような身近なテーマも話し合われるとよかったのですが・・。
美容外科の学会ですから最終的には、外見を改善するのに「眼瞼下垂の手術」を応用することでどのような問題点があるかということをもっと話し合うべきで、、。
要するに私たち美容外科医や患者さんは、目(目の見開き、もっと専門的にいえばMRD)を大きくすることでお顔全体が本当に可愛く若返って見えるようになるのか?その一点が知りたいのです。
美容目的であるいは若返り目的などで、気軽に眼科や形成外科・美容外科で「眼瞼下垂」の手術を受けられて「こんな外見になるとは思わなかった」と悩んでおられる患者さん、意外と多いのです。
その原因として考えられるのは、術後の眉毛の位置が正確に予測できないこと、重瞼ラインの位置、強弱のコントロールが難しいこと、上眼瞼のボリュームのコントロールの難しさ、などが挙げられます。
私の「眼瞼下垂」に対するテーマはここに挙げた3点で、今回の学会でもこのことについてなにか知見が得られれば、と思って拝聴していましたがなかなかはっきりした答えは聞けませんでした。