症例写真を更新しました

今回の患者さんは、数年前に他クリニックで切開式重瞼術を受けています。術後に眼瞼下垂と3重瞼になってしまって、今回その修正術を希望されて来院されました。症例はこちら

このような修正をご希望される患者さんは非常に多いのですが、今回初めてのモニター希望患者さんとなりました。

この手の手術の場合、まず考えなければいけないのは、どうしてこのような結果になったのかです。初回手術との関連をよ~く考える必要があります。

切開式重瞼術後の3重瞼の原因は二つ考えられます。一つは挙筋機能不全、もう一つは重瞼切開線より上のボリューム不足です。

挙筋機能不全は、初回切開手術の術前に100%見抜くのは大変難しいことです。術後に目が開きにくいという訴えで初めて気づくこともあるからです。この場合の3重瞼は不可抗力もありえます。

しかし次のボリューム不足が原因のケースはそうとはいえません。なぜならこれは切開重瞼の手術によって引き起こされるからです。つまり術者の責任と考えられます。(特に片側発生の場合はその可能性が大です)

今回の患者さんの術前の写真をよく観察しますと左の上まぶたのへこみが見てとれます。これはおそらく手術中の脂肪の取りすぎと考えられ、しかも眼窩脂肪ではなく、隔膜前脂肪の取りすぎによるものと考えたほうが妥当です。

隔膜前脂肪を取りすぎると、挙筋腱膜と眼輪筋の距離が近くなり最悪のばあいはここに癒着がおきます。そこまでいかなくてもこの患者さんのように上眼瞼がへこんだり、3重瞼になったりします。

眼瞼の中央部分の隔膜前脂肪は、眼窩脂肪を切除するときに一緒にまとめて切除されてしまったり、挙筋腱膜と一緒に翻転されてしまったりして術者が気づかぬうちになくなってしまうことがあるのです。

この切開式重瞼術の術後の3重瞼は術者が気づかぬうちにできてしまう厄介なもの、と思われがちですが、はっきりした発生理由があるのです。少し気をつけて手術をすればすくなくともボリューム不足で起こるケースは防げると考えています。

この件の続きは明日に書きます。